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秋葉原事件から1年 - 社会責任から自己責任への報道の転換

秋葉原事件_16/8は秋葉原事件から1年となる日だったが、その報道は実に淡泊で、事件の意味を深く問い返すジャーナリズムはどこからも提供されなかった。不思議に思う。マスコミ報道は、被害者や遺族が事件で受けた心や体の傷の痛みに苦しんでいる姿を紹介する映像や記事が主で、ついでに秋葉原の町の変化に軽く触れた程度だった。取材する記者が1年前の事件に対して強い問題意識を持っていないことが伝わってくる。不満に思うのは、加害者の動機や事件の背景について注意を向ける報道が何もなかったことで、報道機関は、「動機の解明が待たれます」とうわべで言いつつ、決して自ら探究しようとしない。1年前に事件が起きたとき、報道は加害者の派遣労働に注目して、関東自動車と日研総業がどのような働かせ方や解雇をしたのかを焦点にしていた。それは加害者を取り調べた警察自身が、まさにその問題を動機の核心として捉え、報道陣に情報提供していたからである。NHKは12日後にドキュメンタリー番組を制作して放送、その内容は「ワーキングプア」を継承する基調のものだった。新自由主義の労働形態が告発されていた。  

続きの内容をレジまぐ版に詳しく公開しました。コメントはこちらの方にお願いします。

産経新聞政治部からメールをいただき、6/7の【政治部デスクの斜め書き】の「世襲貴族対決の行方は」の中でブログの記事をご紹介いただいた旨のご連絡がありました。この場をお借りして御礼を申し上げます。

今日の記事は、秋葉原事件から1年経ち、マスコミ報道がこの問題に対してすっかり関心を失っている現状と、特に事件を捉え直す論調と視角が社会責任論から自己責任論へと急角度で転換している事実を取り上げました。1年前、あの事件が起こったとき、加藤智大の行動について、「全く理解できない」という表現でその異常性を指摘する声は、むしろ少なかったように思います。誰もが加藤智大の中に自分を見たし、その孤独と狂気と絶望に自分自身の姿を映したのではなかったでしょうか。自分もいつでもあのようになると恐怖したし、だからこそ、この事件を他人事ではないと確信したはずです。派遣労働の問題に焦点が当てられ、格差についての論議が高まり、その後の労働者派遣法改正論議の政治に繋がりました。1年経ち、そういった視角から秋葉原事件を振り返っている者が誰もいません。マスコミ報道は自己責任論に回帰しました。

それは、新自由主義を原理的にラディカルに問い直す世論や風潮が後退していることを意味します。1年前はそれを言っていた者たちが、今では安直で軽薄な「政権交代」論に浮かれ、岡田新幹事長体制の下、経団連と協調する新自由主義路線へ舵を切り直した民主党の選挙運動に吸収され、ラディカルな新自由主義批判をやめたことが、自己責任論のマスコミ復活の大きな要因になっているのでしょう。座視できない問題です。

秋葉原事件_z

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No title

私も、秋葉原事件から一年の報道を見て、似たような感想を持ちました。
一年前には、派遣労働・ワーキングプアといった社会的要因が事件の背景にあるという意見と、社会の責任に帰するべきでないという意見がせめぎあっていたように思います。あの事件の原因を直截に派遣労働問題に結びつけ糾弾するのは、やや政治的に利用し過ぎの感が否めません。しかし、一年経って派遣労働・ワーキングプア問題が何も解決していないのに、今回の報道でほとんどそれに触れないのは、いかにも不自然に思われます。誰もが「自分もいつでもあのように」なりうることを、忘れさせようとする意図が感じられます。

原理主義

 一年前には、若者から生きる希望を奪っている格差社会こそが加藤智大に7人を殺させた、というこのブログに多数が同調しました。当時は、市場原理主義の嵐が吹き荒れ、石油価格の急騰でみなブウブウ文句は言っていたものの、まだ自分だけは安全圏にいて、犯人のような過酷な状況はまさか自分には訪れない、と達観していたのではないでしょうか。
それから3ヵ月後にリーマンが破綻し、世界恐慌かといわれる事態になり、誰もが自分の足もとの滑り台の角度が極端に急勾配になったことに気づき、まずその格差社会のなかでの自分の保身を考えないと生きて行けなくなりました。

 一年前の世に倦む日日「自爆テロとしての秋葉原通り魔事件」 http://critic5.exblog.jp/8767964 には、このような記述があります。
> 以下は、読者に失言や暴言の類として判断されて物議を醸す不安もあるけれど、私には、今度の加藤智大の秋葉原通り魔事件がイラクやアフガンのイスラム原理主義者による自爆テロと似た現実のようにも見えるのである。

 確かに犯人の描いた原理主義は、無責任で残虐で軽薄で破滅的で刹那的で、どこをとっても許されるべきではありませんが、それ以上にわれわれが共有する社会の方のさまざまな原理主義の方が、もっと病んでいることに気付かされたのではありませんか。
アメリカでも銃乱射事件が多発し、そのなかの一部は生活苦から自暴自棄になったというものもありますが、なんだか秋葉原のこの事件とは根本的にちがう部分を感じるのです。
世界はもはや、市場原理主義や新自由主義の反省期に入りはじめた、と感じるのですが、日本の社会の動向は、そういう早い変化について行けず、無意味とも思える同じような主義をうたう政権交代に期待をかけています。

 社会とは全員の力ではじめて変わるものですから、自分を保身する価値観だけではお話にならない。状況はこの事件が起きたときよりうんと過酷になっているのだから、その状況そのものを変える発想が必要です。こんなときだから、自分よりもっとひどい状況におかれている人びとのことを考えねば、何もはじまらないのではないでしょうか。
辺見庸氏の「誰が本当の犯人なのかわからない」ということばを含めて、世に倦む日日氏の意見に強く共感します。 NY金魚

久々に読ませていただき・・・、

この記事と講演前の書籍紹介の記事しか目を通していませんが、貴殿の争点の捉え方に考えさせられ、初めてコメントを送らせて頂きます。
昨年の12月初頭と再就職後の2ヶ月半経過した6月明けに解雇を言い渡された私にとって、自己責任論に隠された社会責任論が見えなくなっていた事を気付かされました。
人は、自己の環境が物事の捉え方に影響されやすいと思っていますが、改めてレジマグ購読者であった事を認識し、貴殿の争点に再び尊敬の念を抱いた次第です。
それと、音楽・芸術への嗜好に、私の感性を刺激される事にも悦びを感じさせていただいてます。

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