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『しのびよる破局』を読みながら - 自悶と諦観の中で言葉を探す

辺見庸_1辺見庸はこう言っている。「ことばを理解するためには、あるいはことばを発するためには、少なくとも、自分からなにももちだしなしでやろうという、そんなぶったくり根性は許されない。自分が傷つくことなしに、あるいは他者を傷つけることなしに、ことばを内面に出したり入れたりするということはできない。安直すぎて、結局、自分が荒んでいく」(『しのびよる破局』P.148-149)。共感する。そのとおりだと思う。傷つく恐怖を超えて、自分のことを人前に絞り出す勇気がなければ、言葉を発して人の心に響かせることはできない。けれども、傷つくことは怖く、ありのままの自分を偽りなく表現することはとても難しく、だから、一言も発せず、立ち往生して沈黙することを余儀なくされてしまう。辺見庸の言葉が浸みわたって響くのは、手触り感があるのは、傷ついている辺見庸自身の身体と精神がそのまま見事に表現されているからである。現代という時代が人の心をどれほど荒ませるかを、ボロボロにするかを、自分自身をとおして語り得ていて、しかし、それに抵抗する人間の心があらわされ、ギリギリと責め詰められた究極のところで、言葉がかたちになっているからである。  

続きの内容をレジまぐ版に詳しく公開しました。コメントはこちらの方にお願いします。

辺見庸の文章を読むと、本当に自分自身を思い返す時間が深く始まって、蹲ってしまって何も言葉を発せられなくなります。それが正当なと言うか、まっとうな反応なのだと思います。P.149にこうあります。

「ぼくは商売だから、いつもことばが足りない、足りないとおもっているのだけれど、でも、沈黙を美徳として生きる人に比べれば、嘘をしゃべりすぎだともおもう。本当は自分のなかでは黙りこくることが最善の選択だと確信している。『コレヘトの言葉』はいっている。『焦って口を開き、心せいて/神の前に言葉を出そうとするな。神は天にいまし、あなたは地上にいる。言葉を少なくせよ』ってね。しゃべりすぎるな、どうせ無駄だって。「すべては空しい」と。しゃべらないことの凄みを、しゃべらない人たちに感じることは、やめるわけにはいかない。黙る、もうしゃべりませんというのは、ぼくのあこがれです。いまは、最終的な沈黙のために、話している」。

きっと辺見庸は、同じように、われわれが辺見庸の文章の前に沈黙を余儀なくされるように、サルトルやカミュやドゥルーズやデリダを読みながら、自分はこの時代をどう言葉に表現すればいいいのだろうと悩み、押し黙ることを続けているのでしょう。そこから再び頭を持ち上げて、不自由な身体をおして、表現に挑戦する、言葉を紡ぎはじめるということを続けているのでしょうね。

辺見庸_z
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はじめまして。
ysbeeさんのところから参りました。

>言葉を発するときはリスクを持て
含蓄があります。
嘘を言わねばならない時もあるでしょう、嘘つきと呼ばれることを覚悟して。馬鹿と呼ばれることを覚悟しての言葉もあるでしょう。

>沈黙
余計なことを言わない、ということもあるでしょうが、「行動で示す」ということが言葉より、より意志をはっきり示すことができる場合もある、ということもあるのでしょう。

沈黙で分かり合えるのは同レベル以上。でも語りかけ、意志を伝えようと思う場合、その相手はいまだそこに達していない場合がほとんどでしょう。
昔の日本人の多くは、言葉より行動で示していましたね。

忘れかけていたことを思い出させていただきました。

良いエントリをありがとうございました。
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