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田中康夫代表への手紙 - TBSラジオでの派遣村発言について

田中康夫_1拝啓、たいへんごぶさたしております。一昨年は防衛省不祥事の追及の件で多大なご支援をいただきましてありがとうございました。早速で恐縮ですが、今回、ネットの中に1月5日に放送されたTBSラジオ番組『アクセス』の録音があり、田中代表が日比谷の派遣村についてお話をされている部分を拝聴いたしました。やはり、若干問題があると感じましたので、恐縮ながら気づいた点を申し上げます。ネットに上がっている音声情報は8分間のものです。実際の生放送ではもっと多くの時間を費やされてお話をされていたと察しますが、ここでは配信されているポッドキャストに即して申し上げます。最も気になった点は、録音記録の 2:00 と 5:30 の二度登場する件ですが、派遣村の運動が「湯浅さんが思い描いたものとは違う形に動いている」という指摘です。このラジオ放送での田中代表の説明では、「違う形」というのは、湯浅誠氏が当初から目的とした野宿者に対する人道援助的な取組みではなく、政党や労組が目的とする政治宣伝的な運動になっているという意味を示しているように取れます。  

田中康夫_2田中代表が、「湯浅さんが思い描いたものと違う形になっている」と指摘される場合、その根拠は果たして何なのでしょうか。代表がこの放送に出演されたのは1月5日夜で、派遣村が日比谷公園から撤収したときですが、湯浅誠氏や派遣村実行委のメンバーから、そうした危惧や懸念が発せられていたという証拠や証言は具体的にあるのでしょうか。われわれがマスコミやネットで知るかぎり、湯浅誠氏や実行委の面々から、そうした感想が出ていた気配は微塵もありませんでした。年末からの派遣村の活動は、村長である湯浅誠氏を中心に動いていたし、湯浅誠氏が思い描いていた方向から逸脱して、政党や労組が運動を差配していたようには到底思えません。また、湯浅誠氏や実行委と政党・労組との間で、特に何か齟齬や軋轢があったという情報も聞きません。田中代表の上の主張は、率直なところ、事実を捻じ曲げて悪辣に言う印象批評であり、湯浅誠氏の真意でないものを勝手に真意だと決めつけている誤った解釈だと言わざるを得ず、歪曲という日本語がそのまま当て嵌まる発言ではないでしょうか。

田中康夫_3田中代表は、派遣村が日比谷公園の中の厚労省に隣接した場所に設営した点を捉えて、その政治目的性が政党や労組に由来するものであり、湯浅誠氏らの当初の意図や目的とは違うはずだと言っておられるようですが、このご指摘にも首を傾げざるを得ません。岩波新書『反貧困』でも湯浅誠氏が述べているとおり、湯浅誠氏のNPO活動は、問題を解決する責務を持ちながら何も動かない現在の行政の不作為や無責任を問い質すところにあり、本来的に政治や行政と無関係の団体活動ではありません。その事実を田中代表もよくご承知であるはずでありながら、田中代表の批判は、湯浅誠氏を恰も宗教的慈善活動の主のように描き見せ、労組や政党など政治的性格を持った組織と区別する論理を立てて主張を展開されています。この論理の立て方が間違っていることは誰の目にも明らかで、政治や行政の責任を追及するという点では、むしろ湯浅誠氏や反貧困運動の方がはるかに政治的に先鋭であり、先日の「麻生邸ツアー」の一件も含めて、彼らの方がラディカルでアグレッシブであり、政党や労組は過度に非政治的にお行儀よくしすぎていたとさえ言えるほどです。

田中康夫_41月5日に議員会館前にデモ行進した湯浅誠氏が、出迎えた国会議員団に向かって訴えていたように、この派遣切りの問題は政治が解決する以外にないもので、政治こそが真の責任を負っています。派遣村にせよ、反貧困にせよ、問題の原因が政治にあり、問題の解決も政治にしかない以上、この運動が政治的な性格を帯びないはずがなく、この運動の「本来性」を「非政治性」に求めて勝手に「政治的逸脱」を論う批判手法は、まさに本末転倒であり論理矛盾でしょう。インターネットの空間では、田中代表の論法をネット右翼が真似て、悪質で荒涼とした派遣村バッシングが横行しています。その誹謗のやり方は二つあって、純粋に貧民救済の人道事業なら政治的な要求や主張などするなと言い、逆に、あいつらは本当は共産党なのだという中傷を撒き散らしたり示唆したりという手法です。田中代表の1月5日の発言には、この二つの要素が両方とも入っていて、悪意ある政治宣伝としての言説性格を際立たせています。自分たちの攻撃対象を「こいつは共産党だ」とか「あいつは在日だ」と決めつけて貶めるのは彼らの常套手段ですが、保守イコール反共である日本の政治風土では効果を侮ることはできず、中傷攻撃を野放しに放置する危険を感じます。

田中康夫_5派遣村に対する見方は様々ですが、現時点で、ひとまず客観的に冷静に様相を捉えたジャーナリズムの論説は、特に田中代表的な(政治性に拘る)問題意識に即して言えば、1月11日の毎日新聞の「年越し派遣村:労組3組織も路線越え結束?裏方に徹す」と題した記事ではないでしょうか。ここでは、労組のナショナル・センターである連合と全労連と全労協の三団体が、互いの立場を超えて一つの運動を支えたと書かれています。これはとても素晴らしいことで、暫くぶりの日本の政治の快挙であり、格差と貧困に立ち向かう日本国民の希望の光となるものです。したがって、逆に、自公政権や経団連や新自由主義の側からすれば、この事実は脅威であり、あらゆる手段を講じて叩き潰す必要のある手強い政敵の台頭なのでしょう。私から見れば、これは新自由主義の構造改革政策(小泉・竹中路線)が生んだ格差社会に対して、日本人が初めて本格的に抵抗の意思を示した画期的な運動であり、単に路上生活者を救済するだけでなく、新自由主義に毒され破壊された日本社会全体を救出する契機となる運動です。できれば、そうした反自由主義の視点から派遣村を捉える視点を田中代表とも共有したく、1月5日の発言に関して再考をお願いする次第です。

田中康夫_6この派遣村をどう捉えるかという認識は、現下の国内政治の中で最重要な問題として焦点浮上している製造業への派遣禁止問題とストレートに関連します。現在、国会とマスコミを舞台にした論戦が繰り広げられ、毎夜のニュース番組で取り上げられていますが、製造業派遣禁止を阻止したい側は、世論対策のために、あれこれと派遣村の運動を貶め卑しめる材料を拾い集めている状況が顕著です。そこで率直にお尋ねしますが、田中代表は、製造業派遣を禁止して派遣法を5年前に戻す法改正に対して、賛成なのでしょうか、それとも反対なのでしょうか。1月4日に日比谷公園に並んだ野党の党首の面々は、温度差はありながらも、製造業への派遣を規制する方向で一致して、例の「雇用対策の強化と解雇された派遣労働者らへの住宅確保を求める国会決議」が提案され、法改正の具体的協議に移ろうとしています。新聞やテレビは大きく取り上げませんでしたが、野党の党首クラスがずらりと路上生活者の前に居並んで、派遣切り被害に対策する政治に前向きな決意を見せてくれたことは、国民として実に頼もしく、今後に期待と希望を持てる政治材料であります。あの写真の中に田中代表の姿が入っていなかったことが残念です。本当なら、写真中央に陣取るべきでした。

田中康夫_71月5日の放送では、雇用問題に対する新党日本の政策立場を論じられていますが、きわめて抽象的で、視聴者を納得させられない内容です。現在の議論は、企業の内部留保と製造業派遣の問題をどう政策論に構成するかであり、自民党から共産党までの立場が分かれている状況です。76兆円とも240兆円とも言われる膨大な内部留保を、果たして企業はどこまで雇用に使うべきなのか、その範囲をめぐって論戦が続いています。最もラディカルな立場が共産党と社民党で、製造業への派遣禁止の法改正を求めていますが、例によって民主党の中が二つに分かれ、すなわち企業の利害を汲み取り、自公政権と積極的に妥協して、製造業派遣禁止の先送りを図る右派が政策の主導権を握りつつあります。今後の事態の予測は難しいですが、おそらく国会が法改正の妥協内容で揉めている間に、米国発の金融危機の第二幕が襲来して、またぞろ輸出企業の大手製造業が派遣切りの雨を降らせるのではないかと悪い予感がします。そうなれば、路上生活者の大群が大都市の公園や繁華街を埋め、年末年始の状況とは桁違いの騒動になるでしょう。住宅確保や再就職斡旋などの小手先の議論は吹き飛び、結局、政府(厚労省)は何もできず、企業が内部留保を使って派遣社員を正社員にして抱えるしかないという結論に至るのではないでしょうか。

1月9日の「報道ステーション」で、ゲスト解説者として出演した寺島実郎氏が、次の総選挙では製造業派遣禁止問題を争点にするべきだと言っていました。各党が具体的にマニフェストに掲げて、国民に問うべきだと。田中代表が将来の日本の政治を担う大型の逸材である点は衆目の一致するところであり、私も大いに期待を持って見ている一人です。この重要な問題について、認識と判断をお間違いにならないように、国民の一人として切に切に願います。    敬具   (1/13 送信済み)

田中康夫_Z1田中康夫_Z2
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