スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

製造業派遣問題を論じた各紙の社説 ? 中日・愛媛・中国・朝日

派遣村?1月9日_11/6のブログ記事で紹介した毎日新聞の社説に続いて、地方紙でも製造業派遣の禁止や規制についての社説が上がり始めた。特に注目すべきは1/7の中日新聞で、「製造業派遣?禁止に踏み切る時だ」とストレートに見出しを打ち、「政府は禁止に向けた法改正に取り組むべきだ」と堂々と主張している。素晴らしい。地方紙の雄である中日新聞のこの社説には心強い思いをさせられる。そしてまた、愛知県や東海地方の派遣切り被害の状況の深刻さを想像させられる。この社説は、1/6の経済3団体新年賀詞交換会で財界首脳が製造業派遣規制に強く反対し、夜のテレビのニュースで広く報道された翌日に掲げられたものであり、財界側の意向に対して敢然と挑戦する筆鉾になっている。これこそジャーナリズム。同じく、1/7の愛媛新聞でも「派遣労働?制度を抜本的に見直すべきだ」の見出しで社説が上げられ、「今回の窮状を招いた製造業への派遣労働を認める規定を見直すべきだ」と明確に主張している。愛媛新聞の社説は、派遣村の人々に対して「気の毒でならない」と言葉を添えている。  

派遣村?1月9日_2中国新聞でも1/8の社説でこの問題が取り上げられている。だが、「製造業派遣?規制への議論深めたい」という見出しでもわかるとおり、中日新聞や愛媛新聞ほど前向きな主張にはなっておらず、中国新聞の保守的な体質が浮き彫りになっている。中日新聞の愛知県と同じほど、マツダの工場のある広島県は派遣切りの被害が深刻で、先日も広島労働局長による製造業派遣解禁の法改正に対する懺悔があったばかりだが、単に「議論を深めよ」に止まらず、「禁止せよ」にまで主張を進めるべきだろう。広島や山口の沿岸部には大手製造業の工場が多い。地域経済に解雇された派遣労働者を受容するキャパシティはないはずで、地域を代表するジャーナリズムであれば、企業側の派遣切りのフリーハンドを抑止するためにも、製造業派遣禁止・常用雇用復活を求める声を地域の世論にするべきだろう。マツダの内部留保は4300億円もあり、派遣切りの必要はない。地方紙の社説にお願いしたいのは、製造業派遣問題について論じる際は、必ず企業が蓄えている内部留保の情報と共に議論を構成することである。

派遣村?1月9日_3他に地方紙はないかと探していたら、その前に、本日(1/9)、朝日新聞が社説を出した。見出しは「雇用を立て直す契機に」で、平素は2本立ての社説が1本の大型記事になっている。こういう場合、最近の朝日の社説は、大型の社説であればあるだけ中身が薄く、締まりがなく主張のないあぶく的な文章の場合が多く、読む気が失せてしまう。大型社説ほど期待外れで、読む価値がないものが多い。今日の社説もそうで、朝日自身が製造業派遣の禁止に賛成なのか反対なのか、立場を明確にしていないのである。単にこの問題の状況を眺めて、財界や政府や野党の動きを寄せ集めて概況紹介しているだけだ。せいぜい、「製造業派遣について規制する方向で、最良の策について与野党の検討を始めるべきだろう」で終わりである。くだらない。これでも朝日の社説か。最初に結論から言えば、この社説で示されている政治的立場は、まさに政府(官僚)の立場である。財務省と厚労省の官僚の声をそのまま代弁している。今、製造業派遣の規制に明確に反対しているのは財界だけで、その立場は日経や産経が代理で主張している。政府は現在は反対だとは言っていない。

派遣村?1月9日_4河村官房長官の1/7の発言こそが現時点の政府(官僚)の立場であり、製造業派遣禁止の法改正を提出する野党と修正協議に応じると言っている。民主党と妥協した形で、言わば財界と民主党を調停するような中身で法改正協議に応じる腹であり、製造業派遣の規制について多少とも前向きになり、従来の財界寄りの立場を修正している。したがって、製造業派遣をめぐる現在の政治的立場は大きく三つに分かれ、禁止や規制に反対の財界と、禁止の法改正で迫る野党及び労働界と、その間で調停役をする政府与党という三者の構図である。厳密に見れば、野党の中でも、禁止を一貫主張する共産党と規制で落としどころを探る民主党で立場は分かれ、一本の線上に右から左までアナログ的に立場が展開する。財界の側も、断固反対で強硬姿勢の同友会・日商と、政府寄りに「議論は認める」経団連の二つに分かれる。で、朝日の立場だが、三者の中の政府の立場である。朝日新聞と言うと、普通は民主党の立場だろうと誰もが思う。自民党と読売新聞の関係が民主党と朝日新聞の関係だと誰もが考えている。それが常識だが、今回の製造業派遣問題については、朝日は民主党の立場に立っていない。政府(官僚)の立場に立っている。

派遣村?1月9日_5昨年の狂気じみた消費税増税断行キャンペーンもそうだったが、最近の朝日は完全に官僚新聞になっていて、政府広報紙になりきっている。官僚の目線からの政治と経済の情報を国民に伝え、官僚が予定計画している政策を国民に伝達説明し、それを国民に受け入れさせる論説ばかり書いている。だが、朝日の紙面を見ると、これは私の見方だが、政府以上に製造業派遣規制に対して否定的で、社説では「再検討を」とか「論議を深めたい」と言いながら、実際の紙面では財界寄りの筆調で記事を書いている。「政策面」と題された本日の7面に、「派遣法改正?製造業規制、合意は困難」と見出しされた記事があり、河村官房長官の1/7の発言とは全く逆に、与野党の修正協議など無理だと言わんばかりに切って捨てている。この見出しと記事内容は、普通に考えれば、日経か産経が書くべきもので、朝日がこのように書くのを読者は意外に感じるのではないか。つまり、朝日の「政策面」記事は、上に示した三つの立場の中の政府の立場以上に、実際は財界寄りであり、率直に言えば、経団連の御手洗冨士夫の立場そのものなのである。社説では製造業派遣の規制の「議論を深めよ」と言いつつ、紙面記事では、協議が始まる前から「合意は困難」と簡単に言いのけている。出鱈目な二枚舌もいいところで、新聞としての良識を疑う。

派遣村?1月9日_6紙面記事(7面)では民主党の直嶋正行の名前を出し、新自由主義系の直嶋正行を筆頭とする党内右派の存在があり、彼らが「政府と同じ懸念」を持っているのだと書いている。つまり、製造業派遣禁止の法改正を断行すれば、逆に企業による経営防衛の派遣切りが加速横行するという見方を党内右派の連中が持っていて、彼らが(左派主導の)法改正の動きにブレーキをかけるだろうと言っている。これは直嶋正行を取材して書いた記事で、裏で小沢一郎が指示して書かせたのかも知れないが、いずれにしても、製造業派遣禁止の気運が盛り上がっている政治の動きに対して水を差す、きわめて悪質で反動的な記事であることは間違いない。この「政策面」の記者が民主党右派よりも右寄りのスタンスである事実が看取でき、現在の朝日の記者の政治的立場の何たるかを了解することができよう。単純な見方を言えば、広告収入激減の折に、広告主の親玉である経団連に媚を売っているのだろう。この時期に朝日が「製造業規制、合意は困難」の観測記事を書いてくれれば、御手洗冨士夫はウハウハで、これ以上の世論工作はない。今、政治の世界は実に奇観を呈していて、民主党系の新聞であるはずの朝日が経団連のイヌになり、政府の官房長官が、支持率対策と選挙対策のために「企業は内部留保で雇用を守れ」と言い、製造業派遣規制に前向き発言をする。

派遣村?1月9日_7朝日は広告料が欲しい。官房長官は内閣支持率が欲しい。欲しいもののために政治をする。そうして、奇怪きわまる政治現象の「捻じれ」が現出する。昨年の朝日新聞の政治目標は「何が何でも消費税増税を実現する」だったが、今年の朝日の目標は「断固として製造業派遣禁止を阻止する」になるかも知れない。皮肉や揶揄ではなく、実際にそうなる可能性が見える。数年前のことを考えれば、あの朝日が、まさか消費税増税の世論の先鋒で旗を振っているなどとは夢にも思わなかった。政府(官僚機構)の方は、昨年の予算編成で事実上「竹中路線」が崩れ、構造改革のイデオロギーから僅かでも脱却が始まっているように見えるが、朝日の方は、むしろ新自由主義の傾向が強烈に記事に投影するように変わってきた感がする。一方、テレビの方は相変わらず「定額給付金」シフトが露骨で、大事な派遣問題の情報をマスクするように、定額給付金の下手な永田町芝居を国民に見せ続けている。「定額給付金を総理が受け取るかどうか」の問題が、昨日(1/8)の最大の政治ニュースの話題だった。これは誰が見ても「やらせ」で、麻生首相がテレビ視聴者の関心をドライブするために演出している政治である。国民の関心を製造業派遣の問題から逸らすためのトラップだ。マスコミ報道用の撒き餌である。

派遣村?1月9日_8昨日、麻生首相の口から製造業派遣問題について発言が出て、朝日の本日の1面に記事が載っているが、昨夜のテレビのニュース番組では全く取り上げられなかった。昨日の麻生首相の発言は、「常用雇用が望ましい」と言いつつ、「製造業派遣の規制には慎重に対応する必要がある」と言っていて、記者がどちらを強調するかで報道のニュアンスが違ってくる。その差異は見出しに出る。新自由主義系のロイターは「慎重な対応が必要」と言ったと否定的に書き、地方紙に配信している共同通信は「派遣規制の検討を容認」と積極的に書いている。どちらの方向からも読者に伝えられる。こういう場合、テレビのニュースで素材にすれば、必ずキャスターかコメンテーターが中身を説明することになり、報道する人間の主観を媒介した説明によって視聴者に事実認識が伝えられる。だから、昨日の麻生首相の発言のような場合は、まさにキャスターと解説者によってどう説明されるかで情報の意味が分かれるニュースだった。普通なら、と言うか、10年前なら、フジや日テレはロイター的な観点から説明を与え、TBSやテレ朝は共同通信的な視角から首相発言を解説したものである。テレビ局によって報道が変わるニュースだったはずだが、豈に図らんやと言うべきか、テレビはこの大事な首相発言を報道せず、給付金問題のワイドショーでお茶を濁した。

新聞かネットを見てなければ、派遣問題の政治で何が起きているか知りようもない。

派遣村?1月9日_Z
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

世に倦む日日

Author:世に倦む日日
(世に倦む日日FC2版)

最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
access countベキコ
since 2004.9.1












RSSリンクの表示
アクセス数とメール
エキサイト版に避難中です。
FC2のふざけた釈明

access countベキコ
since 2004.9.1


  
ご意見・ご感想

Twitter
Google 検索ランキング
下記のキーワード検索で
ブログの記事が上位に 出ます


竜馬がゆく
花神
世に棲む日日
翔ぶが如く
燃えよ剣
王城の護衛者
この国のかたち
源氏物語黄金絵巻
セーフティネット・クライシス
本田由紀
竹中平蔵
皇太子
江川紹子
G20サミット
新ブレトンウッズ
スティグリッツ
田中宇
金子勝
吉川洋
岩井克人
神野直彦
吉川元忠
三部会
テニスコートの誓い
影の銀行システム
マネー敗戦
八重洲書房
湯浅誠
加藤智大
八王子通り魔事件
ワーキングプアⅢ
反貧困フェスタ2008
サーカシビリ
衛藤征士郎
青山繁晴
張景子
朱建栄
田中優子
三田村雅子
小熊英二
小尻記者
本村洋
安田好弘
足立修一
人権派弁護士
道義的責任
古館伊知郎
国谷裕子
田勢康弘
田岡俊次
佐古忠彦
末延吉正
村上世彰
カーボンチャンス
舩渡健
秋山直紀
宮崎元伸
守屋武昌
苅田港毒ガス弾
浜四津代表代行
ガソリン国会
大田弘子
山本有二
永岡洋治
平沢勝栄
偽メール事件
玄葉光一郎
野田佳彦
馬渕澄夫
江田五月
宮内義彦
蓮池薫
横田滋
横田早紀江
関岡英之
山口二郎
村田昭治
梅原猛
秦郁彦
水野祐
渓内譲
ジョン・ダワー
ハーバート・ノーマン
アテネ民主政治
可能性の芸術
理念型
ボナパルティズム
オポチュニズム
エバンジェリズム
鎮護国家
B層
安晋会
護憲派
創共協定
二段階革命論
小泉劇場
政治改革
二大政党制
大連立協議
全野党共闘
民主党の憲法提言
小泉靖国参拝
敵基地攻撃論
六カ国協議
日米構造協議
国際司法裁判所
ユネスコ憲章
平和に対する罪
昭和天皇の戦争責任
広田弘毅
レイテ決戦
日中共同声明
中曽根書簡
小平
国民の歴史
網野史学
女系天皇
呪術の園
執拗低音
政事の構造
悔恨共同体
政治思想史
日本政治思想史研究
民主主義の永久革命
ダニエル・デフォー
ケネー経済表
価値形態
ヴェラ・ザスーリッチ
李朝文化
阿修羅像
松林図屏風
奈良紀行
菜の花忌
アフターダーク
イエリネク
グッバイ、レーニン
ブラザーフッド
岡崎栄
悲しみのアンジー
愛は傷つきやすく
トルシエ
仰木彬
滝鼻卓雄
山口母子殺害事件
ネット市民社会
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。