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週刊東洋経済の「テレビ・新聞陥落」特集 - キー局は2-3社に減る

東洋経済_1週刊東洋経済の1/31号に「テレビ・新聞陥落 - 頼みのネットも稼げない」と題された大型の特集記事が載っていて、現在のマスコミ業界の深刻な経営状態が取材、報告されている。それによると、テレビの在京キー局5社は07年10月を境に広告収入が急減、08年9月決算で軒並み減益して、日本テレビは上場以来初の営業赤字に転落した。昨年9月末、10月以降のスポット広告枠が埋まらないテレビ朝日は猛烈なディスカウントを敢行、ネットタイムと呼ばれる全国放送のスポンサー広告をローカルタイムと呼ばれる関東地区のスポンサー広告の価格と同一水準に値下げ、半額以下で叩き売ってスポット広告の空白時間帯を埋めた(P.37)。特集の中に氏家齊一郎のインタビューがあり、「テレビ広告はさらに減り、生き残る局は2-3社だ」と語っている(P.43)。テレビ事業は総務省から電波割当を受ける免許制のため、法律で規制されて企業間の株式保有に上限が設けられている。資本提携や株式買収によって簡単に経営統合ができない。そして、テレビ局は広告費の減少で苦境が続く中、さらに地デジの設備投資によるコスト増にも直撃されている。  

東洋経済_2記事では、関西のある准キー局1社がすでに経営難に陥っていて、遠くない将来に准キー局4社(朝日・毎日・読売・関西)の間で経営統合が行われ、これを契機に東京キー局の大きな再編に繋がるのではないかと予想が述べられている(P.38)。経済情報誌の老舗である週刊東洋経済がここまで書くのは、これは一つ間違えば、「風説の流布」による信用侵害と営業妨害になるはずだが、敢えて記事にしたのは、相当に根拠があり、関西方面では誰もが承知している事実なのだろう。氏家齊一郎のインタビューを読みながら感じるのは、彼は危機感を表明しているようで、実は全く危機感を持っていないということだった。氏家齊一郎の発言は、狙いは政治と行政に対するメッセージ発信であり、政令を変えてキー局同士の統合再編をやらせろと言っている。テレビ局間の資本規制を定めた放送法は、すでに08年の4月に一部改正されていて、地デジ投資負担難に対応するために「認定放送持株会社」の制度が認められている。総務省の政令で「持株会社」の規定を変えれば、東京キー局の統合再編を簡単に実現させられる。業界3位と4位のテレビ朝日かTBSを併呑して傘下に入れる気なのだ。

東洋経済_3氏家齊一郎は、自分たちは十分に現在の状況や環境が分かっていて、番組作りの品質向上や差別化に努力していて、今後も努力をすれば危機を克服できると思っている。この人は、渡辺恒雄と同じで、83歳の高齢者でありながら、頭はよく切れて回転しているし、経営者としての分析や判断に必要な情報処理をしている。それは間違いない。だが、本質的なところが分かっていない。仮に東京キー局が5社から3社になったとしても、その民放3社が順調に経営を維持拡大できる保障はないと私は思う。この大恐慌に匹敵する経済危機は、歴史的な規模と性格を持ったもので、長い不況を脱出した暁には、恐らく旧弊的なもの一切がリセットされている。ここで根源的な説得力として辺見庸を持ち出せば、辺見庸が「時代の絶対悪」として措定するところの最も近い位置に、抽象的存在ではなく具体的存在として、「資本の潤滑油としてのテレビ」がある。テレビ(特に民放)が何をやっていたのかが問われるだろう。この号のP.57に、広告宣伝費トップ100の企業が一覧で載っている。これを見ていると、何が本質で、テレビとは何かがよく分かる。1位トヨタ自動車、2位ソニー、3位ホンダ、4位日産自動車、5位パナソニック、6位キャノン。

東洋経済_4この6社だけで、日本の広告費全体(7兆円)の27%を占めている。年末からこれまでの間に、赤字決算と人員削減で大きなニュースを提供してきた企業だ。1社で3千億円の赤字を計上し、1社で1万人から2万人の人員を削減する企業である。それだけ赤字を出して解雇者を出すのだから、テレビ広告の予算に余裕があるわけではないだろう。特集記事の中で気になる情報があり、実は単に広告収入が減っているだけでなく、視聴率全体も低下傾向にあり、テレビを見ない人が着実に増えているという事実が指摘されていた。ビデオリサーチの調査では、05年に45%あった関東地区の総世帯視聴率が、07年には43%に落ちている(P.39)。編集部は、地デジへの完全移行を機にテレビを全く見なくなる世帯が増えるのではないかと予測している。この点に関して思うことは、メディアにはコアのユーザー層の存在があるということで、例えばPCなら、45歳から55歳の年齢層がヘビーユーザーを構成している。携帯電話はもっと下の年齢層になるだろう。20代から30代。テレビは、恐らくそれを最も生活に密着させている層は、70代の高齢者層だろう。携帯とPCとテレビ、この3媒体はコアのユーザー層の年齢特性が違う。若年層はテレビから離れやすく、必需品である携帯は絶対に手放せないが、PCはセカンドメディアで、テレビはサードメディアの存在だ。

東洋経済_5また、テレビの媒体としての年齢特性の問題が、全体の視聴率だけでなく、テレビ局間の視聴率の差になって表れているようにも察せられる。NHKの番組を見ていると、明らかに分かるのは、高齢者が主たる視聴者として想定されて制作されていることである。火曜夜8時に放送している歌謡ショーなど典型的で、以前は、こんな老人音楽ばかりの品揃えで誰が見るのだろうと訝しんでいた。テレビ局の中で最も高齢者に接近した番組を放送しているNHKが、最も安定した品質のよい番組を提供していて、しかも視聴率競争で民放番組を圧倒している。市場競争に勝っている。若者が四六時中携帯を片手で弄くって見入っているように、高齢者は家にいる間ずっとテレビを点けていて、その画面はNHKに固定されているケースが多いのである。高齢化という問題が媒体シフトの市場構造に影響を与えている。自分自身のことを考えても、10年前から、久米宏のニュースステーションが面白くなくなってから、民放テレビを積極的に見る機会はなくなった。明日から民放テレビが全部消えても、特に日常生活で不便になることはない。むしろ爽快な気分になる予感さえする。テレビはNHK4局あれば十分で、ネットとPCがあれば不自由なく生きていける。民放テレビは市場の中で不要な存在になりつつあり、テレビの広告媒体価値の低落傾向は固まった。民放テレビ不要論は、今後、国民のコンセンサスになるだろう。

東洋経済_6特集記事をさらに読むと、テレビ以上に深刻なのは新聞で、部数減が止まらず、広告収入が激減して、全社惨憺たる状況になっている。08年12月の新聞広告事業は前年同期比で18%も減少した(電通調べ)。大企業は、広告費削減に際して、テレビより先に新聞から撤退を始めていて、その影響が各社に出ている。産経新聞は100人の希望退職を実施。毎日新聞は夕刊廃止に踏み切った。朝日新聞は設立以来初めての最終赤字を計上。勝ち組と言われた日経も、部数を伸ばしながら広告収入減で業績が悪化、2期連続の大幅減益で赤字転落の危機を迎えた。企業に向かってああせいこうせいと指南を垂れ、派遣切りを躊躇するなと言っている経団連広報の日経が、自ら赤字経営に転落して、果たしてどのような言説の説得力を維持できるのだろうか。日経新聞の勝ち組神話もいよいよ崩壊の時期を迎えた。新自由主義経済と心中して奈落の底に沈む。私は、朝日新聞の記事と論説の新自由主義路線への異常な傾斜に対して、一昨年から辛辣な批判を続けているが、この動きの裏には、やはり間違いなく広告費の問題がある。朝日は企業を批判できないのであり、新自由主義者の記者で固めざるを得ないのだ。私の予想では、朝日と読売は購読料を上げてくるだろう。そしてさらに部数を減らし、広告収入を減らすだろう。毎日と産経は紙面の頁数を削減させ、特性を押し出して特定読者を掴む方向にさらにシフトするだろう。

東洋経済_7現在の新聞記事というのは、よく見れば分かるが、ほぼ全てが二次情報の記事であり、意図的な解釈がされた論説記事である。そして、いわゆる一次情報というのは、ほとんど官公庁や企業団体が発表したプレス発表を記者クラブで仕入れたものであり、新聞記者が独自に足で取材した情報など皆無と言っていい。政治面の記事は、政治家と夜な夜な飲み食いして遊び戯れながら、イヌのようにジャレて政治家に気に入ってもらい、政治家が世論を操作するための「記事」を書いてやるのが政治記者の商売なのである。赤坂の高級料理屋でうまいものを貪り食い、六本木のおさわりバーでホステス相手に痴態の宴を繰り広げながら、政治家の思惑どおりの「記事」を流すのが仕事なのだ。自民党や民主党の幹部に「こう書いてくれ」と言われて「ハイ」と言って書き、経団連の幹部に「こう書いてもらっちゃ困る」と言われて「ハイ」と頷く。それと引き換えに情報と広告をもらう。御手洗冨士夫のインタビューをありがたく載せさせてもらう。トヨタ様の広告発注を拝受する。ソニー様の紙面広告を頂戴する。そうやって商品である新聞紙面ができている。巷間よく言われるところの、ネットのBlogは二次情報だから価値がなく、新聞記事は一次情報だから価値があるという言説は、全く根拠のない思い込みであり、刷り込まされた錯覚を信用しているだけだ。新聞記者は取材などしていない。われわれと同じで、PCの前に座って記事を書いているだけだ。

東洋経済_8週刊東洋経済の特集では、ネットのビジネスと広告についての記事もあった。が、あまり深く掘り下げておらず、単に表面をなぞっただけで、ヤフーの一人勝ちの現状がさらに続くことと、ネットの広告も事業も伸びないことが予想されているだけだ。テレビや新聞が落ちればネットが伸びるという考えは幻想だという問題は、私も以前の記事で指摘した。ネットの事業や広告を考える際に最も重要な点は、辺見庸が言っていた本質論で、それが低所得者相手の市場であり産業だということである。だから、テレビ(年間2兆円)の広告の市場規模がネット(年間6千億円)にスライドするわけではない。2兆円と6千億円の差には意味がある。逆に言えば、私からすれば、ネットの6千億円の市場は相当にバブルだ。誰がそれを懐に入れているのか。ヤフーの一人勝ちで6千億円だとすれば、この市場規模は半分になってもおかしくないだろう。さらにまた、ネットの事業にはまだまだ参入の余地があり、食い取って貪れるパイの大きさがある。この市場は未開拓だ。なぜ未開拓かと言うと、本格的な事業経営の指導者が出現しておらず、市場において何の創意工夫も価値創造も提供されてないからである。例えば、PCの草創期で言えば、孫正義だけでなく、西和彦が、古川享が、浮川和宣がいた。彼らの個性と才能で産業と市場の成長があった。ネットの場合は誰が出たのか。堀江貴文と西村博之か。眞鍋かをりと中川翔子か。他に誰がいるのだ。価値を作ることが事業だとすれば、日本のネットにはまだ人物が出ていない。

広大な未開の処女地のままである。

東洋経済_Z
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No title

東京在住、且つ中央官庁に近い人間が言っているので、どうしても「上からの視点」に成ってしまいます。「東京の業界人」が、「関西の業界人」の仕事にいちいち口出しをするのは、
何処か「地方蔑視」で不愉快です。

在京TV局は、「たまたま」首都・東京に本社が在るだけです。 東京主導では無く、東北・中部・
北陸・関西・中国・四国・九州・沖縄(どれも仮)の「地方局」が、「東京からの系列」から独立し、
仙台・名古屋・新潟・大阪・広島・松山・福岡・那覇(どれも仮)に集約・再編し、独自に番組を
制作し、且つ日本全国に番組を発信するのが望ましいと思います。

ネットは個人でも出来ますが、TVは「みんなで知恵を出し合い、作品を作り上げる」のが強み
です。これでも、再編過程で人員削減が在るのは避けられないかも知れませんが、他の業種
(自動車・電機・公務員も)を巻き込んで、安全網を整備するしかありません。

芸能人や企業、大学に至るまで、異常なまで東京志向が強過ぎます。東京で成功したいのは
解りますが、お金や労力が掛かり過ぎます。何処か虚しい気分です。

大泉洋氏の様に、「あくまで拠点は札幌」で才能を育んだ方もおられます。地方TV局で制作したのに、在京のTV局の電波を利用して放送するのは、何処か滑稽です。

地上デジタルの整備で金を使うより、「東京一極集中を止めて、権限を地方に分散する様な」
TV回線公共事業をした方が、将来への投資に成ると思いますが・・・。

No title

わたしにとって、このブログを始め、ネット上の情報に合点がいくようになったのは、ここ数年です。
日常の疑問に対して納得のいく情報を提供してくれるのは、新聞やテレビではなくなっています。

新聞では政治面に胡散臭さを感じ、社説では私の考えとは対極の話が蔓延し、辟易です。
テレビでは、芸者のよりも媚びが目立つアナウンサーや、楽屋ネタしかない芸人達のオンパレード。


20年ほど前はこうではなかった気がします。

私と社会のどちらが変わってしまったのでしょうか。

いずれにしても、テレビはNHKが一番まともな気がします。

No title

NHKでさえ庶民の味方をせずに新自由主義礼賛を未だにやってますからね。
米国と大企業と自民党清和会に媚を売ってる構図は民放と何ら変わりません。
内需切り捨ての改革をやれば典型的な内需産業のマスメディアも経営が苦しくなるのは分かりそうなもんですが。
コンテンツの質も落ちますから海外にも売れなくなりますしね。
更に庶民の味方をしなくなりましたから庶民のメディア離れも進みますしね。
自らが好んで階級分化社会、固定化社会、世襲制社会を推し進めようとしてるようですが、今度は自らが負け組に落ちる懸念さえ出て来ましたね。
自業自得ですね。
これだけ経営が苦しくなるともう質の良いコンテンツは作れないでしょうし。
マスメディアは一足早く負のスパイラルに突入したって事でしょうか。
私は先日30数年ぶりに東京に参りましたが、地方とは違ってまだまだ不景気とは縁がないように見えましたね。
それこそ大阪・神戸辺りとは雲泥の差でした。
在京メディアや東京の住人に危機感が無い理由も分かりましたね。
地方や貧乏人を切り捨てれば生き残れると思うのも無理はないのかも知れませんね。
だけど東京一極集中をこれ以上進めれば、有事の際、例えば首都圏で大地震が起きた時は日本ごと潰れるなと感じましたね。
機能とリスクの分散をしないと何時か取り返しの付かない事になるなと。

No title

> 毎日新聞は夕刊廃止に踏み切った。

夕刊が廃止されたのは、北海道支社の発行分です。
東京や大阪など、他の拠点では(統合版地域を除いて)夕刊が発行されています。
いずれは、産経の東京本社に続いて夕刊廃止となるのでしょうが・・・。
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